高度専門職

高度専門職ビザとは

高度専門職ビザは、外国から高度人材を招き入れることを促進するために作られたビザです。

「高度人材」とは、専門的な技術力や知識を有する外国人のことで、以下のように表現されています。

「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替する事ができない良質な人材」であり、「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」(平成29年5月29日、高度人材受入推進会議報告書)

高度人材が行う3つの活動類型

高度専門職1号には3つの活動類型があり、それぞれ下記の活動を行います。

高度専門職1号 イ 研究分野 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う

研究、研究の指導又は教育をする活動

高度専門職1号 ロ  

自然科学・人文科学分野

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う

自然科学又は人文科学の分野に属する知識

又は技術を要する業務に従事する活動

高度専門職1号 ハ 経営管理分野 本邦の公私の機関において事業の経営を行い

又は管理に従事する活動

高度専門職2号は、高度専門職1号で3年以上活動を行った方が対象となります。

◆高度専門職ビザの要件

高度専門職ビザを取得するための要件として、以下の3つの要件が求められます。

1. ポイント要件
2. 活動の該当性要件
3. 国益要件

1. ポイント要件

① 「高度専門職1号 イ」の活動を行う外国人であって、高度専門職ポイント計算表での点数が70点以上であること

② 「高度専門職1号 ロ」の活動を行う外国人であって、高度専門職ポイント計算表での点数が70点以上であり、かつ報酬年額が300万円以上であること。

③ 「高度専門職1号 ハ」の活動を行う外国人であって、高度専門職ポイント計算表での点数が70点以上であり、かつ報酬年額が300万円以上であること。

高度専門職ポイント表は、出入国在留管理庁ホームページ内「公表情報」よりご確認ください。

2.活動の該当性要件

「高度専門職1号」の在留資格(ビザ)を取得しようとする外国人は、その活動が以下の在留資格

「教授」「芸術」「宗教」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」
「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」

いずれかに該当し、かつ、それぞれの在留資格(ビザ)に定められた基準に適合することが要件とされています。

そのため、これらのいずれかの在留資格(ビザ)に相当する活動と必ず重複します。

※「高度専門職1号イ、ロ、ハ」は、在留資格該当性に加え、上陸許可基準への適合性も求められる在留資格(ビザ)です。

  • 「高度専門職1号 イ」の在留資格に該当する活動は、主に「教授」「研究」「教育」の在留資格に相当する活動と重複します。
  • 「高度専門職1号 ロ」の在留資格に該当する活動は、主に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に相当する活動と重複します。ただし、「高度専門職1号 ロ」の在留資格においては、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に相当する活動のうち、「国際業務」の部分は含まれません。
  • 「高度専門職1号 ハ」の在留資格に該当する活動は、主に「経営・管理」の在留資格に相当する活動と重複します。

3.国益要件

申請する外国人の活動が、我が国の産業及び国民生活に与える影響の観点から、相当でないと認める場合は、基準に適合しないと判断されます。

「高度専門職1号、2号」ビザにおける優遇措置

高度専門職ビザを取得した場合に、出入国在留管理上の優遇措置を受けることができます。1号と2号では少し異なる部分がありますが、以下の内容の優遇措置となります(1.から7.までの7項目)。

「高度専門職1号」の場合の優遇措置

1. 複合的な在留資格の許容

他の就労系在留資格(ビザ)では、外国人は許可を受けた1つの在留資格で認められている活動のみ行うことができます。

その点、高度専門職1号では、認められた活動と関連する事業を自ら経営するなど、他の在留資格にまたがるような活動を行うことが可能です。

2. 在留期間5年の付与

高度専門職1号ビザでは、出入国管理法上の最長在留期間である「5年」が一律で認められます。また、この期間は更新が可能です。

※他の就労系ビザの在留期間は「3月」「6月」「1年」「3年」「5年」その他5年を超えない範囲となっております。

3.在留歴に係る永住許可要件の緩和

永住ビザの取得は、原則として「引き続き10年以上本邦に在留していること」が必要となりますが、「原則10年在留に関する特例」として下記内容を満たせば、永住ビザの取得が可能となります。

  • 「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
  • 3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に、70点以上の点数を有していたことが認められること。

4.配偶者の就労

「高度専門職」外国人の配偶者は、優遇措置として、学歴・職歴の要件を満たさなくても、「研究」・「教育」・「技術・人文科学・国際業務」・「興行(一部制限あり)」の仕事をすることが可能です(特定活動告示33号)。

その場合の在留期間は、5年、3年又は1年のいずれか。

なお、申請する場合は、「外国からの呼び寄せ」「本邦での他のビザからの変更」「ビザの更新」の種類により、該当する書類の提出が必要となります。

※注意点「高度専門職」外国人の配偶者として就労の許可を受けるためには、「高度専門職」外国人と同居し、かつ、日本人と同等以上の報酬を受けること、が必要です。

5.一定の条件の下での親の帯同が許容される

以下の場合、一定の要件を満たすことで「高度専門職」外国人またはその配偶者の親(養親を含む)の入国。在留が認められます。

  • 高度人材外国人として在留する者又はその配偶者の7歳未満の子(連れ子や養子を含む)を養育する場合
  • 高度人材外国人の妊娠中の配偶者若しくは妊娠中の高度人材外国人に対し、介助、家事その他の必要な支援をする場合

「一定の要件」としては下記の3点となります。

  • 世帯年収が800万円以上であること。
  • 高度人材外国人と同居すること。
  • 高度人材外国人又はその配偶者のどちらかの父または母であること。

6.一定の条件の下での家事使用人の帯同

以下の要件のもとに、家事使用人の帯同が可能となります(「入国帯同型)家事使用人の場合)。

  • 高度人材外国人の世帯年収が1000万円以上であること。
  • 高度人材外国人が使用する言語により日常会話を行うことができる個人的使用人として雇用される18歳以上の者で、月額20万円以上の報酬を受けること。
  • 他に家事使用人が雇用されておらず、当該高度人材外国人と共に本邦に転居し、かつ、その者の負担においてその者と共に本邦から出国を予定されるもの。
  • 継続して1年以上当該高度人材外国人に雇用されていること。

7.入国・在留手続の優先処理

高度人材外国人に対する入国・在留審査は他の在留資格に比べて優先的に早期処理が行われます。

「高度専門職2号」の場合の優遇措置

A.「高度専門職1号」の活動と合わせて、ほぼすべての就労資格の活動を行うことができる。
B.在留期間が無制限となる。
C.上記3.から7.までの優遇措置が受けられる。

「高度専門職」ビザについての注意点

近年の高度人材告示に基づき、今まで「特定活動」の在留資格で付与されていた高度人材外国人への在留資格に対し、高度専門職1号、高度専門職2号が創設されました。

高度専門職2号は1号よりさらに優遇措置が設けられましたが、1号の在留ビザをもって3年以上在留した高度人材外国人に対して2号が認められます。

そのため、高度専門職2号の在留資格は、高度専門職1号からの変更申請でのみ取得が可能です。

外国から直接、2号への申請を行うことはできません。

また、せっかく高度専門職のビザを取得しても、活動を一定期間行わないで在留していることが分かった場合(下記期間)、正当な理由がある場合を除き、在留資格取り消しの対象となります。

  • 「高度専門職 1号 イ・ロ・ハ」の場合は3か月間
  • 「高度専門職 2号」の場合は6か月間

「高度専門職」ビザのまとめ

高度専門職ビザの申請については、通常の就労ビザでの申請書類(入管指定の申請書、希望する在留資格に該当することの疎明資料、在留資格に求められた基準への適合性裏付け資料、招へい機関の事業内容についての相当性疎明資料等)の提出に加え、ポイント計算書・ポイント計算に係る裏付け資料・学位取得または年収や研究実績を証明する資料など、提出すべき資料が多くなります。

そのため、ポイントを押さえ簡潔に資料を作ることが必要です。

ご不明な点等がありましたら、無料で対応いたしますので、是非当事務所までご相談ください。