技術・人文知識・国際業務

外国人が日本で働くためには、就労ビザ(※下記①)または身分系のビザ(※下記②)を取得することが必要です。

就労ビザには、日本での活動内容が定められた19種類の在留資格がありますが、ここでは、就労ビザの中でも最も活動範囲が広く、多くの外国人の方が取得を目指す「技術・人文知識・国際業務」ビザについて説明いたします。

なお、身分系ビザは「身分・地位に基づく在留資格」で4種類あります。

こちらは働く時の職種制限のない在留資格です。ホームページ内「メニュー」よりご確認ください。

①就労ビザ(活動の制限あり)の種類
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、

②身分系のビザ(活動の制限なし)の種類
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

「技術・人文知識・国際業務」ビザとは

「技術・人文知識・国際業務」ビザとは、日本の公私の機関との契約に基づいて行う、自然科学の分野(理科系の分)若しくは人文科学の分野(文系の分野)の専門的技術・知識を必要とする業務に従事する外国人、又は、外国人特有の感性を必要とする業務(国際業務)に従事する外国人を受け入れるために設けられたものです。

「技術・人文知識・国際業務」ビザの職種例

具体的な職種として、分野ごとに以下のような職種があります。

理科系の分野:システムエンジニア、プログラマー、情報セキュリティの技術者、機械工学の技術者、土木建築の設計技術者など
文系の分野 :経理、人事、総務、マーケティング、営業、コンサルティングなど
国際業務分野:翻訳通訳、海外取引業務、語学教師、デザイナー等など

「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、いわゆる単純労働の仕事は該当しません(下記要件有り)。

  • 学術上の知識、教養を背景とする一定水準以上の業務であること
  • 単に経験を積んで得た知識のみでは足りず、学問的・体系的な知識を必要とする業務であること

「技術・人文知識・国際業務」ビザの在留期間

5年、3年、1年または3月等、外国人の学歴や実務経験、就職先の状況によって、審査官(出入国在留管理局)の判断で決まります。

「日本の公私の機関との契約」とは

「機関」については、会社のほかに、国・地方公共団体・独立行政法人・公益法人等があります。

日本に事務所・事業所を有する外国の国、地方公共団体、外国の法人も含みます。

「契約」には、雇用契約のほか、業務委託契約(請負契約、委任契約、準委任契約の3種類)がありますが、継続的でなければなりません。

1~2か月間の短期的な契約では許可が出ません。

また、給料については「日本人と同等額以上の報酬」が必要です。

さらに、機関について、「事業が適正に行われ、安定性・継続性がある事」が要求されます。

適正とは、違法行為・不正行為がないこと。

安定性・継続性は、売上・利益・規模・設立年度・業務の量などから判断され、申請する外国人がなぜ必要か、今後の計画や見通しはどうか、についても審査項目となります。

業務の該当性について

「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するためには、外国人が行おうとする業務が「技術・人文知識・国際業務」の活動に該当することが必要です。

「技術・人文知識・国際業務」の活動に該当する業務とは、下記の業務です。

①自然科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務(理科系の分野
②人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務(文系の分野
③外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務(国際業務

なお、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務が在留期間中の全体の業務のうちごく一部である場合は、該当性を有するとは認められません。該当部分が主要でなければなりません。

「技術・人文知識」の要件

「技術・人文知識・国際業務」ビザのうち「技術・人文知識」の部分に関する要件

次のイ.ロ.ハ.のいずれかに該当し、報酬要件を満たすこと
学歴要件 イ.日本で行おうとする業務に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。

ロ.日本で行おうとする業務に関連する科目を専攻して日本の専門学校の専門課程を修了したこと。

実務要件 ハ.10年以上の実務経験を有すること。

(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程、または専修学校の専門課程において当該技術または知識に関する科目を専攻した期間を含む)

※ただし、情報処理に関する技術または知識を要する業務に従事する場合、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格しまたはその資格を有しているときは、要件を満たしているものとする。

報酬要件 日本人と同等額以上の報酬を受けること。

「国際業務」の要件

「技術・人文知識・国際業務」ビザのうち「国際業務」の部分に関する要件

次のイ.ロ.のいずれにも該当し、報酬要件を満たすこと
業務要件 イ.翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝または海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
実務要件 ロ.関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。

ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合は、3年以上の実務経験は免除されます。

報酬要件 日本人と同等額以上の報酬を受けること。

外国人本人の学歴・職歴

学歴要件と実務要件は両方に該当する必要はなく、いずれかに該当することが必要です。

①外国人の学歴

「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得には、本人の学歴が非常に重要です。

◆大学卒業の場合
従事する業務と大学での専攻内容の関連性が必要。
ただし、一致するまでは要求されません。
関連性の有無は大学での履修科目から判断される。
◆専門学校卒業の場合
大学卒業の場合よりも、業務との関連性が厳格に要求されます。
なお、専門学校卒業というのは日本の専門学校を卒業したことを指し、外国の専門学校は該当しません。

「技術・人文知識・国際業務」ビザのまとめ

「技術・人文知識・国際業務」ビザの審査のポイントは次のようになります。

①外国人の行おうとする業務が「技術・人文知識・国際業務」の活動に該当すること
②外国人の経歴(学歴又は実務経験)が要件を満たしていること
③大学または専門学校での専攻内容または外国人の実務経験内容が業務と関連性があること。
④日本にある機関と適法な契約を交わしていること
⑤日本人と同等以上の報酬を受け取る事。
⑥機関(会社)の業績に問題がないこと
⑦行おうとする業務に安定性・継続性が認められること。

申請する場合は、以上の内容を証明する資料を提出することになります。

申請に関する疑問・質問がある場合は、是非ご相談ください。