在留資格「永住者」の申請について

永住ビザを取得する条件

永住ビザは帰化(日本国籍を取得)と違い、外国人が現在有する国籍のままで、継続して日本に住める(永住できる)在留資格です。

在留資格の更新は不要となりますが、在留カードの更新は必要です。

なお、帰化と違い、日本にとって好ましくない理由が確認された場合は、退去強制処分を受けることになります。

「永住」ビザと「帰化」の違い

「永住」ビザと「帰化」は、内容が混同されやすく、ともに期間の制限なく日本に滞在でき、就業について活動制限がないことは同じですが、例えば以下のような違いがあります。

永住ビザ 帰化
本邦に在留する手続き 在留カード更新、再入国手続き必要 帰化の許可後は一切なし
国籍について 外国籍 日本
戸籍について 自分の戸籍は取得できない 戸籍の取得可能
参政権について 一部の自治体を除き参政権はない 参政権・被選挙権あり
退去強制処分 適用あり 適用なし

永住ビザ取得の要件

下記の3つの条件を満たすことが必要です。

  1. 素行が善良であること(素行善良要件)
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)

① 素行が善良であること(素行善良要件)

1つ目の条件として、素行が善良であることが求められます。

出入国在留管理庁による「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)」には、「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。」とされております。

罰金刑や懲役刑はもちろん、スピード違反や駐車違反などの交通違反でも繰り返していると、素行が善良でないと判断される可能性があります。

日本の法律を守り、犯罪やトラブルを起こさないように生活していることが求められています。

② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)

2つ目の条件として、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有していることが求められます。

同ガイドラインには、「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。」とされております。

所有資産や職業・収入をチェックし、継続的に安定した生活を送ることが見込めるかどうかが、判断の基準となります。

永住ビザ申請者の年収だけでなく、配偶者や家族の資産状況を含めて判断されます。

なお、日本人配偶者や子が永住ビザを申請する場合は、生計能力は求められませんが、家族として安定的な生活が送れるかどうかが判断基準となります。

③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)

3つ目の条件として、「その永住者が日本国の利益になると認められること」が求められます。

そして、日本国の利益になると認められるためには、以下のア.からエ.までの4つの条件をすべて満たすことが必要です。

ア. 年数要件(最重要)
イ. 公的義務を履行していること
ウ. 現に有する資格について最長の在留資格を有していること
エ. 公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと

ア. 年数要件

永住許可申請を行う際にまず確認が必要なのは年数要件です。

永住ビザは原則として、指定された期間日本に在留することで申請できるようになります。

同ガイドラインでは「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。

ただし、この期間のうち就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。」と規定されています。

これは「留学ビザ」で10年日本にいても、永住の要件を満たさないことを意味します(留学ビザは就労資格や居住資格でないため)。

なお、年数要件は保有している在留資格によって、10年よりも短い期間でも要件を満たす場合があります。(下記を参照)

就労ビザの方 在留10年以上
日本人の配偶者 婚姻3年 + 在留1年以上
定住者 在留5年以上
日本への貢献者 在留5年以上
高度専門職1号・2号 在留1年または3年(ポイントによる)

イ. 公的義務を履行していること

罰金刑や懲役刑等を受けていたり、納税義務などの公的義務を履行していない場合、永住許可申請が認められない可能性があります。

年金や国民年金保険料の納付状況、出入国管理の届出状況についても義務の履行を証明しなければなりません。

ウ. 現に有する資格について最長の在留資格を有していること

現在有している在留資格で在留期間が最長になっていることも条件の1つです。

多くの在留資格では最長の在留期間として5年が設定されているため、5年を有していれば要件が満たされます。

(同ガイドラインにおいては3年で「最長の在留期間」として扱われます)

エ. 公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと

感染症に感染していないかなど、公衆衛生上、有害となる恐れがないことも要件の1つです。

審査期間について

永住許可申請の審査機関は、入国管理局が発表した資料では標準処理期間が「約4か月」となっております。

ただし、個人個人で事情や家族の状況も異なるため、審査にかかる時間は異なってきます。

なお、決められた書類以外の資料を適宜提出することで審査がスムーズになり、期間が早まることもあります。

まとめ

永住ビザの申請では規定の書類以外に、事実を補足する疎明資料を提出することができます。

審査期間を短縮したり、許可に近づくことも可能となりますので、ぜひ当事務所にご相談ください。

相談は無料にて対応させていただきます。