助成金の活用

外国人労働者は、日本の労働慣行に対する知識不足が少なからずあるため、実際に受入企業で働き始めるといろいろな問題が生じたりします。

そのため、受入企業が外国人労働者の働きやすい環境づくりを目指して就労環境の整備を進める場合、「人材確保等支援助成金」外国人労働者就労環境整備助成コース)という、助成金を申請することができます。

ただし、申請ができる事業主は、雇用保険被保険者となる外国人労働者(特別永住者および在留資格「外交」「公用」を除く)を雇用している場合です。

ここでは、助成金についての「主な受給要件」「受給額」「支給対象となる経費」「支給までの流れ」について、説明いたします。

 主な受給要件

(1)外国人労働者を雇用している事業主であること

(2)認定を受けた就労関係整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置(A. およびB.の実施に加え、①から③のいずれかを行う)を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること。

就労環境整備措置】

必須メニュー A.雇用労務責任者の専任 雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、すべての外国人労働者と3か月ごとに1回以上の面談(テレビによる面談も可)を行う。
B.就業規則等の社内規定の多言語化 就業規則等の社内規定のすべてを多言語化し、計画期間中に、雇用するすべての外国人労働者に周知する。
選択メニュー(①~③のいずれか) ①苦情・相談体制の整備 全ての外国人労働者の苦情または相談に応じるための体制を新たに定め、外国人労働者の母国語または当該外国人労働者が使用するその他の言語により苦情・相談に応じる。
②一時帰国のための休暇制度の整備 すべての外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得できる制度を新たに定め、1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇を取得させる。
③社内マニュアル・標識類等の多言語化 社内マニュアルや標識類等を多言語化し、計画期間中に、その雇用するすべての外国人労働者に周知する。

※同一事業主の下で5年以上継続雇用されている外国人労働者については、当該外国人労働者が日本語の表記でも十分に理解でき、本人が多言語化を希望しない場合には、多言語化を不要とすることもできる。

ただし、日本語での周知は必要。

(3)「外国人労働者離職率」と「日本人労働者離職率」について、下記目標を達成することが必要です。

外国人労働者の離職率

計画期間の終了から1年経過するまでの期間の外国人労働者の離職率が10%以下であること。

ただし、外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、1年経過後の外国人労働者離職者数が1人以下であること。

日本人労働者の離職率 計画前1年間と比べて、計画期間の終了から1年経過するまでの期間の日本人労働者の離職率が上昇していないこと。

(4)外国人雇用状況届出を適正に届け出ていること。

※上記の要件以外に各雇用関係助成金に共通の要件など、いくつかの要件がありますので、別途確認が必要です。

受給額

受給要件をすべて満たした場合に、支給対象経費の合計額に助成率を乗じた金額が支給されます(下記)。

区分 支給額(上限)
賃金要件を満たしていない場合 支給対象経費の1/2 (上限額57万円)
賃金要件を満たしている場合 支給対象経費の2/3 (上限額72万円)

※助成金における賃金要件とは~特定期間において外国人労働者に対する「毎月決まって支払われる賃金」を一定以上引き上げる取り組みをいう.

 支給の対象となる経費

計画期間内に、事業主から外部の機関または専門家等(以下「外部機関等」という)に対して支払いが完了した以下の経費を対象とします。

  1. 通訳費(外部機関等に委託をするものに限る)
  2. 翻訳機器導入費(事業主が購入し、雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器の導入に限る。10万円を上限とする)
  3. 翻訳料(外部機関等に委託するものに限り、社内マニュアル・標識類等を多言語で整備するのに要する経費を含む)
  4. 弁護士、社会保険労務士への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限り、顧問料等は含まない)
  5. 社内標識類の設置・改修費(外部機関等に委託をする多言語の標識類に限る)

 支給までの流れ

助成金の支給までの流れは、下記のようになります。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)についての問い合わせ先は、最寄りの都道府県労働局職業安定部職業対策課(助成金センター)となります。