外国人が日本で出産した時は、日本人の場合と同じく出生届の提出が必要となります。
そして、外国人の両親の間にうまれた子供は日本国籍を持たないため、日本に在留するために在留資格を取得する手続きが必要となります。
ここでは、期限内に済ませなければならない重要な手続きの「出生届の提出」、「ビザ(在留資格)の申請」、さらに「子供のビザ(在留資格)」について説明いたします。
出生届の提出
出生届は、子供の名前も決める大事な手続きです。
しっかり準備をしておくことが大事です。
(※日本の役所に出生届を出さないと日本での住民登録ができないことになります。)
出生届の書式ですが、一般的に横長のA3サイズで、左半分は父母が記入する「出生届」、右半分は出産に立ち会った医師または助産婦が記入する「出生証明書」となっています。
書式は、役所の担当窓口で入手できますが、出産する病院で準備してくれることも多いようです。
- 提出時期
出生届は、子供が生まれた日を1日目として14日以内に、住んでいる市区町村の役所に提出します。 - 提出方法
出生届は原則として、父親か母親が届けるルールとなっています。 - 必要書類
出生届を提出する際に必要な書類は下記の4点です。
①記入済みの出生届及び出生証明書
②母子健康手帳
※赤ちゃんの心拍が確認できると、病院の医師か助産婦から母子手帳をもらうように指示があります。市区町村の役所もしくは保健センターに必要書類を提出すると母子手帳が交付されます。
③届出人の身分証明書(在留カードなど)
④父母のパスポート - 受け取る書類
出生届を提出することで、「出生届受理証明書」を受け取ることができます。さらに、子供を含む世帯全員の情報が記載された住民票も取得しましょう。
出生届受理証明書と住民票は、子供のビザ申請時に提出が必要なため、大切に保管しましょう。
ビザの申請
外国人(両親がともに外国人)が日本で出産し、出生届の提出が終わったら、次はビザの申請です。
1.申請期限
外国人が日本で出産した場合、両親とも外国人の場合は子供が日本国籍を取得できないため、日本に住み続けるためには在留資格の申請をしなければなりません。
この申請は、出生後30日以内に行うことが必要です。
しかし、出生した日から60日以内に日本を出国する場合は、この手続きは不要となります。
2.申請先
現在住んでいる市区町村を管轄する地方入国管理局で行います。手数料は無料です。
3.必要書類
①在留資格取得許可申請書 ※16歳未満のため顔写真は不要です。
②出生届受理証明書または出生証明書
③世帯全員の情報が記載された住民票
④指定の質問書への回答を記入したもの
⑤扶養者のパスポートと在留カードの写し
⑥扶養者の納税証明書、住民税課税証明書
⑦扶養者の在職証明書
⑧子供のパスポート原本(すでに取得している場合)
その他の手続き
父も母も外国の国籍である場合、その子が日本で生まれた場合日本国籍を取得することはできません。
このような場合、子が生まれたことについて本国へ届け出る手続が必要です。
手続については、父又は母の駐日大使館・(総)領事館に問い合わせてください。
また、生まれた子のパスポートも、あわせて発給を受けることが必要です。
申請するビザの種類
子供の出生から30日以内に行う「在留資格取得許可申請」ですが、その中で申請する種類は、活動内容に応じた在留資格を選択して申請することになります。
①扶養する親が就労ビザや留学ビザで日本に滞在中に出産した場合は、その子供のビザは「家族滞在」になります。
②日本で子供を出産したときに、父または母が永住者のビザを有していた場合、その子供のビザは「永住者の配偶者等」になります。
③父親または母親が定住者のビザを有していた場合、子のビザは「定住者」となります。
日本国籍と併せて外国籍も取る場合
「両親のどちらかが日本国籍の場合」は、子は日本国籍を取得することができます。
日本国籍のみを取得する場合は、「出生届」の手続きだけで大丈夫ですが、場合によっては外国籍も取得しておきたいと思うこともあります。
その場合は、それぞれの国の駐日大使館・領事館で登録することになります。
登録方法はその国の大使館により異なるため、確認が必要となります。
なお、日本の国籍法には国籍選択制度があります(国籍法第14条から第16条まで)。
これは「出生や婚姻、養子縁組、認知などにより外国及び日本の国籍を持つことになった日本人は、それが18歳前であれば22歳に達するまで、18歳以降であればその時から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない」というものです。
そして、この期間に選択届を出さない場合、法務大臣が国籍の選択を催告できるとされており、催告を受けた日からひと月以内に日本国籍を選択しなければ、その期間が経過したときに日本の国籍を失うことになります。
ただし、現実には法務大臣からの催告が出されたことは殆どなく、催告の制度によって日本国籍を失った人はほとんどいないようです。
その他の基礎知識:外国人夫婦の「出産育児一時金」については「メニュー」からご確認ください。