母国の親を日本に呼びたい

「アメリカにいる母親が一人で施設に入っているので、心配なので、日本に呼び寄せたい」

「中国にいる高齢の母親が夫を亡くし、一人で生活している。自分は一人息子でほかに面倒を見る人がいないので、日本に呼んで一緒に暮らしたい」

このような相談を受けることがあります。

本国にいる親を日本に呼んで、いっしょに暮らすことは可能でしょうか。

ここでは、母国に暮らす親を日本に呼び寄せることができるかどうか、について説明していきます。

 

家族滞在ビザでは本国の親を日本に呼べない

 家族滞在ビザは、当ホームページの「家族滞在」で説明しているように、日本で就労ビザ等を有する外国人の扶養する配偶者(妻又は夫)、及びその子供のための在留資格です。

そのため、ご両親や兄弟姉妹などの親族は、家族滞在ビザを取得する事はできません。

なお、高度専門職ビザにおいて、入管法の規定により、高度人材外国人又はその配偶者の父または母を日本に呼べる場合があります(特定活動・告示34号)。

ただし、この場合は下記のような制限があります。

■高度人材外国人の世帯収入が800万円以上であること。
■高度人材外国人と同居すること。
■その7歳未満の子供を養育するか、又は、高度人材外国人の配偶者(又は本人)が妊娠中で介助、家事その他の必要な支援をする場合であること。

このように、高度専門職ビザを有する外国人に対し、かなり限定された状況の中で、父または母を日本に招へいすることができる場合となります。

その他で、外国に住む父または母を日本に招へいできる場合(老親扶養)はあるのでしょうか。

 

外国の親を日本に呼び寄せができる例外的な状況 とは

 上で紹介したように、現在、高度専門職ビザ以外で外国の親を日本に呼び寄せができる在留資格は、ありません。ただし、取得の要件が公表されていない「告示外特定活動」として、外国の親を日本に呼び寄せることができる例外的な場合があります。これは、法務大臣が「人道上その他の特別な事情」により、特に在留を認める場合です。

 

「人道上の特別な事情」とは

■親の年齢がおおよそ70歳以上であること

■一人では暮らせないような病気等があり、日本にいる家族のケアが必要であること
※病状が重い場合は医師の診断書等により医療滞在ビザ(特定活動・告示25号)が認められる
場合があります

■本国に親の面倒を見る親族がいないこと

■親の扶養ができる十分な収入があること

現実的に、親の面倒を見ることができる住居の余裕があることはそのほかのプラス要因となるでしょうし、仕事上家にいることが少ない印象を与えるのは、マイナス要因として考慮されてしまうのではないでしょうか。

 

「告示外特定活動」ビザの取得について

海外にいる親を日本に呼び寄せるための「告示外特定活動」ビザを取得するための手順は、次のようになります。

 

短期滞在ビザ(訪問の目的を「親族訪問」で申請する)で日本に来る

入国後、出入国在留管理局へ「特別な事情」があることを相談した上で、

受理される場合に特定活動ビザへ変更申請を行う
(受理されても必ずしも許可が出るわけではない)

「特定活動」ビザに変更許可(原則、在留期限は1年が最大)

在留期限ごとに更新の申請を行う

 

まとめ

 老親扶養の「特定活動」ビザは、取得の難しいビザです。高齢者が増え、医療費が増え続けている日本でさらに外国から病弱な高齢者を受け入れるのは、日本にとって難しい状況を増やすことになります。

許可を得るためには、特別な事情を丁寧に伝えることが必要です。まずは、専門家へのご相談をお勧めします。