働き方の多様化が進む近年、ウェブ制作・システム開発・ライター・税務顧問・コンサルティングなどでフリーランサーとして活躍する方が増えております。外国人が日本で個人事業主(freelancer)として就労ビザを取得することは可能でしょうか。
「公私の機関との契約」とは
例えば、就労ビザの「技術・人文知識・国際業務」ビザの場合、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う業務または活動」に該当することが許可の前提となります。
この場合、「公私の機関との契約」には「雇用契約」以外の契約も含まれるのでしょうか。
結論としては、企業との「雇用契約」だけに限らず、業務委託契約も「技術・人文知識・国際業務」ビザの要件に適合します。
個人事業主(freelancer)は、本邦の公私の機関との業務委任契約を行うことで「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得が可能です。
なお、業務委託契約には下記の3種類があります。
① 請負契約
② 委任契約
③ 準委任契約
① 請負契約とは
請負契約とは、企業が自社以外の人材に業務を依頼し、その結果に対して報酬を支払う契約を指します。
企業が専門性の高い業務を必要とする場合や、業務の効率化をはかるために、契約を結ぶ場合です。
請負契約では、一定の成果を出して初めて報酬が支払われるのが特徴です。
指揮命令がないため、特別な指定がない限りは、自分のペースで仕事に取り組むことができます。
② 委任契約とは
委任契約とは、業務の遂行自体を目的としたもので、法律行為を伴う契約を指します。
例えば、税理士に税務相談を行うことや書類の確認を依頼することなどが「法律を伴う契約」にあたります。
委任契約では報酬の対象は業務の内容となっています。
そのため、業務の結果に関わらず報酬を受け取ることが特徴です。
③ 準委任契約とは
準委任契約とは、法律行為を伴わない業務を行う場合の契約を指します。
法律行為に当たらない事務の委託などにおいて多い業務形態です。
準委任契約は、業務を遂行することで報酬が発生する契約です。
以上のように、フリーランサーの場合も公私の機関との業務委託契約を結び、「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得要件を満たすことで、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得することができます。
ただし、フリーランサーの場合「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するにあたり、気を付けなければならない重要な点があります。以下では、その点について説明します。
フリーランサーがビザ取得にあたり注意すべきポイント
フリーランサーは、会社員に比べ仕事の自由度が高く自分に合った仕事を選択できるため満足度が高い半面、収入面で不安定な面があります。
会社員と違い、毎月の給料をもらうわけではないので、収入が安定しないため、この部分で審査が厳しくなります。
就労ビザの審査の場合、収入での安定性が重視されるため、フリーランサーとして活動しながらも、継続的に相当程度の収入があることを具体的にに説明しなければなりません。
そのためには、業務委託契約において長期の契約を行うことや、複数の機関との契約を行い合計で収入を増やしていけること、優れた技能を有するため収入の確保が可能であること、当面の生活を賄うだけの十分な資産を有していることなど、十分な説明が必要となります。
まとめ
このように、個人事業主(freelancer)が「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得することは可能ですが、企業との雇用契約を交わして申請する場合よりも難易度は高くなります。
そして、いったん「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可を受けた場合、その後のビザの更新をしていくために、企業に勤める方の場合とちがい、国民年金と国民健康保険には加入しなければなりません。
さらに、法令を遵守して、納税義務を果たしていくことも重要で、これにより今後の更新への良い準備としていくことができます。