技能

「技能」ビザとは

就労ビザの1つに「技能」ビザがあります。ここでは、「技能」ビザについてその「該当する範囲」、「技能ビザの基準と職種」、「技能ビザの要件(一部の技能ビザについて)」等を説明いたします。

技能の在留資格について

「技能」の在留資格は、我が国の経済社会や産業の発展に寄与するとの観点から、日本人で代替できない産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する外国人を受け入れるために設けられたものです。

技能ビザの該当範囲

入管法(別表第1の2の表)の「技能」の項の下欄は、日本において行うことができる活動範囲を以下の通り規定しています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

「産業上特殊な分野」の内容

産業上特殊な分野として定められているのは

  • 外国に特有な産業分野(下記、技能ビザの職種例における第1号から第3号まで)
  • 我が国の水準よりも外国の技能レベルが高い産業分野(下記、同4号、5号、8号、9号)
  • 我が国において従事する技能者が少数しか存在しない産業分野(下記、同6号、7号)

「熟練した技能を要する」の内容

「熟練した技能を要する」とは、個人が自己の経験を重ねることによって有することとなった熟練の域にある技能を必要とすることを意味し、この点で「技能」の在留資格に該当する活動は、特別な技能・判断等を必要としない機械的な作業である単純労働と区別されます。

「技能」ビザと他の在留ビザとの関係

「技術・人文知識・国際業務」ビザと「技能」ビザの区別は、「技術・人文知識・国際業務」ビザは一定事項について学術上の素養等の条件を含めて理論を実際に応用して処理する能力を言い、「技能」ビザは一定事項について主として個人が自己の経験の集積によって有している能力を指す。

技能ビザの基準及び職種

基準:申請人が次の第1号から第9号のいずれかに該当し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

第1号 調理師
第2号 建築技術者
第3号 外国特有製品の製造・修理
第4号 宝石・貴金属・毛皮加工
第5号 動物の調教
第6号 石油・地熱等掘削調査
第7号 航空機操縦士
第8号 スポーツ指導者
第9号 ワイン鑑定等

「第1号 調理師」の内容

料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、次のいずれかに該当するもの(第9号に掲げる者を除く)。

イ 当該技能について10年以上の実務経験を有する者
ロ 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第1部A第五節1(c)の規定の適用を受ける者

※ロにおける規定内容

  • タイ料理人として5年以上の「実務経験」を有していること
  • 初級以上の「タイ料理人としての技能水準に関する証明書」を取得していること
  • 申請を行う直近1年間、タイでタイ料理人として妥当な報酬を受けていること

「第2号 建築技術者」の内容

外国に特有の建築又は土木に係る技能について10年(当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては、5年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む)を有するもので、当該技能を要する業務に従事するもの

「第3号 外国特有製品の製造・修理」の内容

外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む)を有するもので、当該技能を要する業務に従事するもの

「第4号 宝石・貴金属・毛皮加工」

宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む)を有するもので、当該技能を要する業務に従事するもの

「第8号 スポーツ指導者」

スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む)を有する者、若しくはこれに準ずる者として法務大臣が告示をもって定める者で、当該技能を要する業務に従事する者、又はスポーツの選手としてオリンピック大会・世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に関わる技能を要する業務に従事する者

「第9号 ワイン鑑定等」

ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供(以下、「ワイン鑑定等」という)に係る技能について5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む)を有する次のいずれかに該当するもので、当該技能を要する業務に従事するもの

イ.ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という)において、優秀な成績を収めたことがある者
ロ.国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき1名に制限されているものに限る)に出場したことがある者
ハ.ワイン鑑定等に係る技能に関して国若しくは地方公共団体またはこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者

※第5号から第7号については、その内容の掲載を省略しましたが、確認が必要な方はご連絡ください。

技能ビザの在留期間

技能ビザの在留期間は「5年」「3年」「1年」「3月」のうちのいずれかが許可されます。

例.「在留期間5年」が認められるための要件
次の1、2及び5のいずれにも該当し、かつ、3または4のどちらかに該当する者。

  1. 申請人が入管法上の届出義務を履行していること(上陸時の在留機関決定の際には適用されない)
  2. 学齢期の子を有する親の場合は、子が小学・中学校又は義務教育学校に通学していること
    (上陸時の在留機関決定の際には適用されない)
  3. 契約機関が カテゴリー1 又は カテゴリー2 に該当すること
  4. ③以外の場合は、技能の在留資格で3年の在留期間がが決定されている者で、かつ、日本において引き続き5年以上技能の在留資格に該当する活動を行っていること
  5. 就労予定期間が3年を超えること

 

技能ビザのまとめ

技能ビザは個人が自己の経験の集積によって有する能力をチェックされるため、職種によって10年・5年・3年など、定められた実務経験年数を有していることを証明できるかどうかが大きなポイントとなります。

そのため、実務経験年数を証明する明確な資料・証明書・職場での写真などが必要となります。

例えば、中華料理人が技能ビザを申請する場合は、公的な証明書を出すことで有利となり、小口簿及び職業資格証明書の提出をすることになります。

ただし、職業資格証明書で5段階の等級のうち「初級」の場合は、熟練した技能を有すると認められません。

また、カレーの調理師として技能ビザを申請する場合、申告した実務経験の内容を入管から細かくチェックされます。

場合によっては、勤務先として申告した店舗に電話等で確認したり、店舗の経営者名が間違いないかをチェックします。

このように、十分な裏付けのある書面の提出が必要となりますので、是非専門家への相談をお勧めいたします。