在留資格「特定技能」については、当ホームページのメニューにある「就労系ビザ」内、「特定技能ビザについて」をご覧ください。
このページでは、特定産業分野に属する建設分野で、特定技能外国人を雇用するための必要な手続きや要件について、下記の点(1)から(4)について説明していきます。
(1)建設業の特定技能外国人ができる18の職種
(2)外国人が建設分野で特定技能外国人になるための要件
(3)建設分野の特定技能外国人を受け入れるための要件
(4)建設業の特定技能外国人を採用する方法
(1)建設業の特定技能外国人ができる18の職種について
特定技能受入対象職種としては以下の18の職種があります。
型枠施工 | 左官 | コンクリート圧送 | トンネル推進工※ |
建設機械施工 | 土工※ | 屋根ふき | 電気通信※ |
鉄筋施工 | 鉄筋継手※ | 内装仕上げ | とび |
建築大工 | 配管 | 建築板金 | 保温保冷 |
吹付ウレタン断熱※ | 海洋土木工※ |
※印の6職種については、技能実習等に職種がないため、「建設分野特定技能1号評価試験」を受験し、合格することが必要。
なお、これら18の職種については「業務範囲が限定的で、建設業の作業には特定技能に含まれない作業があるので業界団体から範囲を拡大してほしい」要望もあり、見直しが行われました(2022年8月30日)。
【見直し後】業務範囲を3区分に統合し、業務範囲を拡大した
A.土木区分
指導者の指導・監督を受けながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事できる
主な業務内容
型枠施工 | コンクリート圧送 | トンネル推進工 | 建設機械施工 |
土工 | 鉄筋施工 | とび | 海洋土木工 |
その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業
B.建築区分
指導者の指導・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築、若しくは移転または修繕若しくは模様替えに係る作業に従事できる
主な業務内容
型枠施工 | 左官 | コンクリート圧送 | 屋根ふき | 土工 |
鉄筋施工 | 鉄筋継手 | 内装仕上げ | 表装 | とび |
建築大工 | 建築板金 | 吹付ウレタン断熱 |
その他、建築物の新設、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替えまたはそれにかかわる作業
C.ライフライン・設備区分
指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等に従事できる
主な業務内容
電気通信 | 配管 | 建築板金 | 保温保冷 |
その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業
現在所持している特定技能の資格については、その職種が分類された区分で引き続き業務が行えます。
さらに、その業務が分類されている区分の他の業務も行えるようになりました。
そして、再編に伴い、特定技能1号技能評価試験も業務区分「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの試験区分に統合されました。
- 建設関係の技能実習職種を含む、建設業に係るすべての作業を新区分に分類した。
- 特定技能外国人の安全性確保等の観点から、専門工業団体と特定技能外国人受入実施法人の連携により、訓練・各種研修を充実させた
(2)外国人が建設分野で特定技能外国人になるための要件
建設分野で特定技能ビザを取得するためには、「①建設分野特定技能評価試験に合格していること」に加え、「②日本語能力試験(JLPT)N4以上に合格、または、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT―Basic)に合格」していることが必要です。
ただし、建設分野に関する「技能実習2号を良好に終了(※ア)」した外国人は①及び②の条件が免除されます。
実際に特定技能1号を取得するのは、技能実習2号を修了した外国人が多いようです。
※ア~「技能実習2号を良好に終了」とは、技能実習を2年10か月以上終了し、次のイ.ウ.のいずれかを満たすことが必要です。
イ.技能検定3級または技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること。
ウ.上記のイ.に合格していないものの、実習中の出勤状況や技能等の修得状況、生活態度等を記載した実習実施者が作成した評価調書により技能実習2号を「良好に終了」したと認められること。
(3)建設分野の特定技能外国人を受け入れるための要件
建設分野で特定技能外国人を受け入れるためには、受け入れる企業(特定技能受入機関)は以下のような手続きをしなければなりません。
受入れ前
- 建設業許可を受ける
- “JAC(建設技能人材機構)の正会員である建設業者団体の会員”となるか、“JACの賛助会員”となる⇒会員証明書を入手する(建設特定技能受入計画を国土交通省に認定申請する際に必要)
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
※CCUSとは~技術者の保有資格・社会保険加入状況や現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積して活用する仕組み - 雇用する外国人へ特定技能雇用契約に係る重要事項説明を実施する
- 特定技能雇用契約の締結
- 建設特定技能受入計画の認定申請(オンライン申請)⇒国土交通省/外国人就労管理システム
※国土交通省への認定申請で許可がない場合は、入管庁での在留資格審査で許可が下りません。
※現に有する在留資格の在留期間満了日(または入国予定年月日)の半年前から申請が可能
※建設特定技能受入計画の審査は、受入企業の主たる営業所を管轄する地方整備局が担当します。地域によっては審査の完了に3~4か月かかります。 - 1号特定技能外国人支援計画の作成
- 出入国在留管理庁へ“在留資格変更許可申請”または“在留資格認定証明書交付申請”を行う
※“在留資格変更許可申請”は現に有する在留資格の有効期限2か月前から申請できます。 - 出入国在留管理庁へ申請の結果「許可」を受け、建設特定技能外国人の「在留カード」が交付されて就労スタート
受入れ後
10.1号特定技能外国人受入報告書の提出(国土交通省の外国人就労管理システムへオンラインで申請)
※受入れ後より1か月以内に提出
11.受入れ後講習の受講
※国土交通大臣から建設特定技能受入計画の認定を受けた企業は、特定技能外国人の受入れ後、(一財)国際建設技能振興機構による“建設特定技能受入後講習”を受講させることが義務付けられています。
※概ね6か月以内に受講が必要
◆建設特定技能受入計画の認定基準
- 受け入れ企業は建設業の許可を受けていること
- 受入企業及び1号特定技能外国人の建設キャリアアップシステムへの登録
- (一社)建設技能人材機構(JAC)への加入および当該法人が策定する行動規範の遵守
- 特定技能外国人の報酬額が同等の技能を有する日本人と同等額以上、安定的な賃金支払い、技能習
熟に応じた昇給を行う - 賃金等の契約上の重要事項について書面で事前に説明する(外国人が十分に理解できる言語で)
- 1号特定技能外国人に対し、受入後、国土交通大臣が指定する講習または研修を受講させること
- 国または適正就労管理機関による受入計画の適正な履行に係る巡回指導の受入れ
(4)建設業の特定技能外国人を採用する方法
建設業において、企業が特定技能外国人を採用する方法としては、以下の方法があります。
①JAC(建設技能人材機構)の無料「求人・求職紹介」を通じて紹介を受け、採用する。
JACは職業安定法の許可を受けて、無料で職業紹介事業を行っております。
おもに次のような方向けの事業です。
- 在留資格「特定技能」で働ける外国人を受け入れたい企業
- 「特定技能外国人」を募集している建設企業で働きたい外国人
- 「特定技能外国人」に転職先を探してあげたい企業
②求人媒体からの採用
特定技能外国人を採用したいときは、求人雑誌やインターネット求人サイトなどを利用することができます。
例えば、日本国内から外国人の応募がある場合、次のような方であれば、建設特定技能の在留資格を取得することが可能です。
- 技能実習2号または3号を良好に終了する見込みがある者(同じ職種での就労)
- 外国人建設就労者(特定活動32号の資格を有する者)
- 建設技能評価試験と日本語試験の両方の試験に合格した留学生などの外国人
応募で来た外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有する場合、その外国人が大学で土木や建築を学んでいる場合は設計や製図、施工管理で就労の見込みがあります。
ただし、「技術・人文知識・国際業務」ビザのままで、建設作業員として就労することは、原則として認められません。
③第2号(3号)技能実習修了者の採用
「技能実習2号」または「技能実習3号」の終了予定者で、一定の技能を有していると認められる外国人は、在留資格の審査を経ることで特定技能へ切り替えることが可能です。
ただし、同じ職種への移行に限られます。
以上、テーマの(1)から(4)までについて、説明してきましたが、(3)での受入れ企業がやらなければならない手続については、申請のタイミングにもよりますが、国土交通省へのオンライン申請や、入管庁への在留資格審査の申請は、相当な時間を要することになります。
場合によっては、現在の在留資格の有効期限または特例期間の2か月をオーバーしてしまう場合があります。
その場合は、いったん別の在留資格の「特定活動」(4か月・就労可)へ在留資格変更許可申請を行うことができます。
これにより、就労を予定している受入機関で働きながら準備を行うことができるようになります。
建設特定技能については、要件も手続きも多いため、ご不明の点はぜひお問い合わせください。